日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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MYB98::GFP可視スクリーニングによる植物の生殖に必要な遺伝子群の同定
*笠原 竜四郎榊原 卓東山 哲也
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p. 0124

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抄録
雌性配偶体は被子植物の生殖に関するほぼすべての段階で重要な働きをもつことが明らかにされてきている。しかしその機能を支える遺伝子発現ネットワークについては、ほとんど明らかになっていない。雌性配偶体のもつ重要な機能のうちの一つに、助細胞による花粉管ガイダンスがある。笠原ら(2005)は、転写因子であるMYB98遺伝子を同定し、助細胞の分子レベルでの機能を知るための大きな突破口を開いた。MYB98は雌性配偶体内の助細胞で特異的に発現し、myb98変異体は花粉管を誘導できないという表現型を示す。現在、我々はこのMYB98がマーカー遺伝子として極めて優れていることに着目し、植物の生殖に必要な雌性配偶体遺伝子の新規可視スクリーニングを行っている。スクリーニングの方法としては、助細胞で強く発現するMYB98::GFPのラインを使用し、そのラインにT-DNAを挿入することで変異体を得る順遺伝学的手法を用いている。演者らは、GFPが雌蕊内の全ての胚珠で発現していながら、花粉管ガイダンス異常などにより半稔性を示す変異体から解析を進めている。この方法により、雌性配偶体の形成異常により稔性が低下する突然変異体を排除しながら、MYB98の下流の遺伝子群や、新規経路の遺伝子群の突然変異体などが得られることが期待される。スクリーニングとTAIL –PCRの最新の結果について報告したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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