日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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強光ストレス条件下における膜結合型NAC転写因子(HLN)を介した遺伝子発現制御機構
*森下 輝之長田 龍治小島 雄介石田 佑介西澤(横井) 彩子薮田 行哲重岡 成
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p. 0445

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抄録
我々はシロイヌナズナから強光ストレス応答性のNAC転写因子(High-light inducible NAC:HLN)をサブトラクション法により単離した。興味深いことに、HLNはN末端に保存されたNACドメインの他にC末端に膜貫通ドメイン(TM)を持っていた。全長HLNおよびTM欠損HLNのGFP融合タンパク質の細胞内局在性をタマネギ表皮細胞で検討したところ、全長HLNは細胞全体、TM欠損HLNは核のみに局在していた。このことから、強光条件下ではHLNが膜から解離し、核へ移行することにより機能することが示唆された。次に、強光ストレス条件下におけるHLNの生理的機能を明らかにするために、HLNの標的遺伝子の同定を試みた。強光ストレス条件下における野生株とHLN過剰発現株(Ox-HLN)を用いてマイクロアレイ解析を行なった。その結果、166遺伝子が2倍以上に誘導されおり、470遺伝子が1/2以下に抑制されていた。これらの遺伝子群には代謝やシグナル伝達に関与する遺伝子を多く含まれており、HLNはストレス下における代謝の調節に機能していることが示唆された。現在、HLN標的遺伝子のうち、ストレス応答や成長・発達に等に関与する遺伝子を中心にReal-time PCRを用いてHLNの標的遺伝子発現制御機構について詳細な解析を行なっている。
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© 2009 日本植物生理学会
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