日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803のHik33のシグナルインプットドメインの機能解析
*志村 遥平木村 聡白岩 善博鈴木 石根
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p. 0448

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抄録
Synechocystis sp. PCC 6803のHik33は、様々なストレス応答を制御するヒスチジンキナーゼである。通常ヒスチジンキナーゼはN末端にシグナルインプットドメイン(SID)を有し、その領域で特定のシグナルを検知する。Hik33 のSIDは2つの膜貫通ドメイン、ペリプラズム領域、HAMP、PASドメインを含む。本研究ではシグナルの認識に関するSIDの解析を試みた。
まず、リン酸欠乏応答性のヒスチジンキナーゼSphSのSIDを、Hik33のSIDに置換したキメラをSphS欠損株で発現した。そして、SphSにより発現が制御されるアルカリフォスファターゼ遺伝子phoAのmRNA発現量を、通常の培養条件、低温・高塩の各ストレス条件で調べ、キメラのシグナル検知能を評価した。完全長のSIDを持つキメラセンサーは、通常の条件でphoA発現を誘導し、ストレス条件ではphoA発現を抑制した。キメラセンサーのペリプラズム領域を欠損してもphoAの発現を同様に制御したが、PASドメインの欠損は調べたいずれの条件でも構成的にphoAを発現した。従って、Hik33のシグナル検知には、ペリプラズム領域は必要ではなく、少なくともPASドメインが必要であることが示唆された。一方、HAMPドメインの欠損は、どの条件でもphoAを発現できず、このドメインはキナーゼの活性に必須であることが示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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