日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オルガネラ-核間に存在するDNA複製協調機構の解析
*小林 勇気兼崎 友田中 歩黒岩 晴子黒岩 常祥田中 寛
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p. 0728

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抄録
植物細胞において、核DNA複製(nuclear DNA replication: NDR)とオルガネラDNA複製(organelle DNA replication: ODR)を協調させる機構については殆ど明らかにされていない。これまで我々は、オルガネラと核間のDNA複製の調節機構を明らかにするために単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolae、およびタバコ培養細胞BY2を用いた解析を進めてきた。前年度の本学会年会において、我々は定量的PCR法を用いた解析によりNDRがODRによって制御されていること、そしてオルガネラから核へDNA複製の開始を伝えるシグナルとしてテトラピロールの一種であるMg-ProtoIXもしくはProtoIXが働いていることを報告した。本年会では、さらに詳細な解析を行うべく顕微鏡観察による直接的な核・オルガネラDNAの定量を行い、その結果、ODR、NDRの正確な開始時期を特定する事が可能になったので報告する。またDNA複製時の細胞内テトラピロール量を測定する事によって、ODRの開始に相関してMg-ProtoIXの細胞内蓄積量が一過的に上昇する事を明らかにした。さらに、Mg-ProtoIXによるNDR誘導のメカニズムに関しても解析を進めている。これらを踏まえた核・オルガネラDNA複製の同調機構のモデルを提示する予定である。
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© 2009 日本植物生理学会
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