抄録
Rdd1はDof様転写因子をコードするイネ遺伝子で、その転写産物は明暗条件下から恒常明期もしくは恒常暗期に移行しても約24時間周期の日周変動を示すことから、概日リズムによって制御されていることがわかっている。暗黒下で育てた黄化芽生えにおけるRdd1発現を調べたところ、Rdd1転写産物は日周変動を示さずに不規則に変動していたことから、日周変動するためには光照射を必要とすることが示唆された。不規則な発現変動を示した黄化芽生えに白色光を照射すると、Rdd1転写産物は光照射後に顕著な減少を示すことがわかった。
フィトクロムは植物の主要な光受容体で、イネでは3つ（phyA、phyB、phyC）あることが知られている。そこで、光照射後のRdd1発現の変化はどのフィトクロムによって制御されているか明らかにするために、フィトクロム突然変異体を用いた光誘導実験を行った。その結果、遠赤色光下においてはphyAが、また，赤色光下ではphyAとphyBの両方がRdd1発現に影響を与えていることが示唆された。一方，アンチセンス方向にRdd1を発現させた形質転換イネの黄化芽生えを用いた光誘導実験では，野生型イネでみられたような照射後のRdd1転写産物の顕著な減少は検出されなかった。現在Rdd1タンパク質の局在についても調べているので，その結果もあわせて報告する。
