日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ペルオキシ亜硝酸イオン(ONOO-)の植物抵抗反応への関与
*樹神 博士加藤 大明竹本 大吾川北 一人
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p. 0955

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抄録
植物の病害ストレス応答として(O2-)や一酸化窒素(NO)が生成され、種々の抵抗反応を誘導することが知られている。ペルオキシ亜硝酸イオン(ONOO-)はO2-とNOの反応生成物であり、これまでにジャガイモ疫病菌由来のタンパク質エリシターINF1を処理したベンサミアナタバコにおいて、ONOO-が生成されることを明らかにしている。本研究では、種々の病原菌接種時のONOO-生成を比較し、さらに生成系を抑制した植物の病害抵抗性について解析を行った。まずO2-生成酵素であるNbRBOHB、NO生成に関与するNbNOA1およびNbNRをベンサミアナタバコでサイレンシングしたところ、ONOO-生成が抑制されたことにより、これらの酵素により生成されるO2-、NOからONOO-が生成されることが示された。またベンサミアナタバコに対して非病原菌であるインゲン炭そ病菌とダイズ斑点病細菌を接種したところ、病原性を示すウリ類炭そ病菌およびタバコ野火病細菌接種区と比較して、より多くのONOO-生成が認められた。またNbRBOHBNbNOA1をサイレンシングしたベンサミアナタバコにウリ類炭そ病菌を接種したところ病斑数が上昇し、ONOO-発生剤を処理することにより病斑数が減少した。この結果より、ONOO-は病原性糸状菌に対する植物の基礎抵抗性に関与する可能性が示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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