日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物におけるポリアミン代謝経路とぺルオキシソームの役割
*信定(鎌田) 知江林 誠榊原 均西村 幹夫
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p. S0044

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抄録
ポリアミンはウイルスから植物、動物まで広く存在する低分子活性物質であり、プトレシン、スペルミジン、スペルミンが主要ポリアミンとしてよく知られている。ごく最近、我々のグループを含めて、植物には存在しないとされていたポリアミンオキシダーゼ(PAO)のスペルミンからスペルミジン、スペルミジンからプトレシンへの代謝活性が相次いで同定され、植物のポリアミン代謝がより複雑に制御されていることが明らかにされつつある。
我々はオルガネラの1つであるペルオキシソームの未同定機能の解明を目指して研究を行ってきた。シロイヌナズナ各器官において、ペルオキシソームへの輸送シグナルをもつタンパク質の遺伝子の網羅的な発現解析を行い、putative PAOの1つAtPAO4が根で強く発現していることを明らかにした。AtPAO4の遺伝子発現抑制株では、野生株に対してスペルミジンが減少し、スペルミンが増加していた。さらにin vitroで、大腸菌で発現させたAtPAO4タンパク質の活性測定を行ったところ、スペルミンをスペルミジンに代謝する活性を示した。遺伝子発現抑制株におけるポリアミン含量の変化は、植物内でAtPAO4がポリアミン含量の調節に関わっていることを示唆している。ペルオキシソームには他に2つのPAO(AtPAO2,3)も局在し、ポリアミン代謝におけるペルオキシソームの役割について議論する。
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© 2009 日本植物生理学会
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