日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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アサガオの開花に伴う表層細胞の液胞pH上昇とイオンの蓄積の普遍性について
*吉田 久美三木 直子
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p. 0066

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抄録
我々は、空色西洋アサガオ(Ipomoea tricolor cv. Heavenly Blue)の花弁の開花における花色変化と液胞pHのアルカリ化の機構の研究を行ってきた。着色細胞のイオン分析、晩秋に見られる花弁中に赤色のスポットやセクター部分が出現したキメラ花弁のイオン分析やタンパク質解析の結果から、アサガオ花弁においてItNHX1は、Na<+>+</+>/ H<+>+</+>ではなくK<+>+</+>/ H<+>+</+>対向輸送体として機能すること、さらにこのシステムは花弁表層の着色細胞の液胞内の浸透圧物質として機能し、細胞が伸長成長して開花にいたるために重要であることを明らかにした。今回、他のアサガオ花弁においてもこのシステムが働いて開花に至るのではないかと考え、白色アサガオ(Ipomoea tricolor cv. Pearly Gate)および赤色アサガオ(Ipomoea nil cv. Scarlet O’Hara)を用いて実験を行った。開花の24時間前から経時的に液胞pHの変化、着色細胞のイオン分析および細胞の伸長成長を調べた。いずれも開花時には液胞pHが上昇しK<+>+</+>量も細胞の体積増加にともない上昇することが明らかになった。ItNHX1のアサガオの開花における普遍的な役割についての考察も報告する。
K. Yoshida et al. Proc. Jpn. Acad. Ser. B, 85, 187 (2009).
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© 2010 日本植物生理学会
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