日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ胚乳タンパク質の品質管理におけるERシャペロンBiPの機能解析
*若佐 雄也保田 浩高岩 文雄
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p. 0131

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抄録
シャペロンタンパク質であるBiPは小胞体において、タンパク質翻訳後の未熟タンパク質と結合し、そのフォールディングを補助するだけでなく、フォールディング遅延、若しくは不能となったタンパク質が増加した状態、すなわちERストレス時において、異常タンパク質を翻訳抑制や分解へと誘導する。
我々は、イネ胚乳に有用タンパク質やペプチドを蓄積した組換え米の開発を進めている。その際導入産物によっては、しばしば種子の粉質化、白化といった死米様表現型を呈すると同時に、種子貯蔵タンパク質の低下およびBiPの増加が認められる。その後の解析から、このような種子では胚乳細胞にERストレスが起こっていることが示唆された。このことから、イネ種子でのBiPの変動とERストレスとの関係に着目し、両者の関係を調査した。
BiP (AK065743) 過剰発現系統および発現抑制 (RNAi) イネ系統を作製した。様々なBiPレベルの系統を選抜し、それらの表現型や種子貯蔵タンパク質 (グルテリン、グロブリン、プロラミン)、シャペロン遺伝子や転写因子を中心とした、ERストレス関連遺伝子 (BiP の別ファミリー、HSP70、PDI、calnexin、bZIP型転写因子)の発現を調査した結果から考察された、種子における BiP の役割について報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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