抄録
asymmetric leaves1 (as1) およびas2変異体では、葉身に左右非対称に切れ込みが形成され、葉、特に葉柄が基部先端部軸方向に短くなる。またこれら変異体を特定の条件下で生育した場合には、葉の向背軸性異常も示す。今回我々はAS1、AS2と葉の向背軸性の確立に遺伝学的に協調して機能する新規因子の同定を目指し、as1変異体の葉の向背軸性異常を亢進する変異体の探索を行った。スクリーニングの指標として用いた棒状やはす状の葉の形成頻度が最も高かった1系統の解析を現在進めている。この系統には第5染色体下腕の1遺伝子座に変異が生じていた。この変異をenhancer of asymmetric leaves1 and asymmetric leaves2 (eal)と名付け解析を進めている。eal変異はas2変異体の葉の向背軸性異常も亢進した。いくつかの実験結果からas1 ealおよびas2 eal 二重変異体で形成される棒状の葉は背軸側化していることが示唆された。EAL遺伝子はNuclear distribution gene C (NudC) と呼ばれるタンパク質において高度に保存された配列を含むタンパク質をコードしていた。今回は、eal変異の細胞分裂に与える影響について調べたのでその結果を報告する。