日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネの小穂と穂の発生を制御する遺伝子の解析
*吉田 明希子平野 博之
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p. 0152

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抄録
花序や花の形態は植物種により多様である。花器官のアイデンティティーの決定にはABCモデルが提唱され、真正双子葉植物に広く当てはまることが示されている。しかし、単子葉植物の花序や花は、真正双子葉植物とは大きく異なるため、その発生には独自の制御システムも機能していると考えられる。イネ科の花には、小穂と小花という花序の構造単位が存在する。イネの花は、外穎・内穎に包まれ、リンピ・雄蕊・雌蕊からなる1つの完全な小花が形成される。また小花の外側には1対の護穎と副護穎が形成され、これらを小穂と呼ぶ。これまで我々は、植物花器官の発生に関わる新たな知見を見出すことを大きな目標として、イネにおける小穂と穂の形態形成とその発生機構に関する研究を行ってきた。小穂を構成する器官の発生に関する知見はまだあまり報告がなされていない。そこで本研究では、小穂の護穎・副護穎の発生に着目して、その形成メカニズムを明らかにすることを目的として、新規変異体 aberrant spikelet 1 (asp1) を単離し、その原因遺伝子の同定を試みた。asp1変異体の表現型の解析から、ASP1遺伝子は、イネ小穂に特異的な器官である護穎と副護穎の形態形成と花序のメリステム維持に関与している可能性が考えられた。今回は、単離した変異体の詳細な表現型解析と、同定したasp1変異体の原因遺伝子についての機能解析について報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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