日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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光化学系IIのquality control:ホウレンソウチラコイドのunstackingは、光ストレスでのD1タンパク質のダメージを避けD1タンパク質の分解を容易にするために必要である
*猪名川 佳代Khatoon MahbubaPospisil Pavel山下 亜夢吉岡 美保Lundin Bjorn堀江 順子森田 典子Jajoo Anjana山本 洋子山本 泰
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p. 0476

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抄録
光化学系IIは強光ストレスによる損傷を受けやすい。反応中心D1タンパク質は強光下で損傷を受けると分解され、光化学系IIから除去される。ホウレンソウから単離したチラコイドを用いて、我々は強光下で起こるチラコイドのunstackingとD1損傷の関係を調べた。強光下ではチラコイドがunstackし、グラナに存在する損傷光化学系II複合体とストロマチラコイドに存在するプロテアーゼが光化学系IIの修復のために移動しやすくなると予想された。実際、強光照射では、不可逆的なチラコイドのunstackingが生じた。更に、stackしたチラコイドとunstackしたチラコイドへの光ストレスの影響を比較する実験から光化学系IIの光阻害はstackしたチラコイドでより著しいことが分かった。またEPRスピントラッピング実験から、stackしたチラコイドではunstackしたチラコイドよりヒドロキシルラジカルが生じやすいことが分かった。これらの結果から、チラコイドのunstackingには光ストレス下でD1タンパク質の損傷を避けること、損傷D1タンパク質の分離を促進することの2つの重要な役割があることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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