日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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紅色光合成細菌の光化学反応中心結合型チトクロムcに含まれる低電位ヘムの機能解明のための実験系の確立
*中山 陽介ALRIC JEAN嶋田 敬三永島 賢治
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p. 0485

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抄録
紅色光合成細菌は、光酸化された反応中心スペシャルペアへの電子供与体として光化学反応中心結合型チトクロムcをもつ。このチトクロムcの中には通常4つのヘムが含まれ、スペシャルペア側から高電位ヘム(ヘム1、401mV)、低電位ヘム(ヘム2、76mV)、高電位ヘム(ヘム3、310mV)、低電位ヘム(ヘム4、-47mV)の順で並んでいる。これまでに高電位ヘムを低電位ヘムに変化させ電子伝達速度が遅くなることが先行研究で確認されていたが、低電位ヘムを高電位にした研究は行われていないことからヘム4近傍のLeuをArgに置換したL96R、ヘム2近傍のIleをArgに置換したI266R株の2つを作製した。今回、従来の酸化還元滴定法に加え新たに電気化学的測定法を導入し、酸化還元中点電位値(Em)の測定を進めた。酸化還元滴定法でEm値を求めたところ、L96Rではヘム4が79mV上昇し、I266Rではヘム2が47mV上昇していた。その結果L96Rでは、スペシャルペアの再還元速度が2倍に変化した。これはヘム4以外のヘムの酸化還元中点電位も変化したことによる影響であると考えられ、これらの値を電気化学的測定法も含めて正確に決定しようとしている。
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© 2010 日本植物生理学会
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