日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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DNA二本鎖切断に応答したCDKB2の分解制御とエンドサイクル移行の生理的意義の解析
*関谷 有紗安達 澄子Breuer Christian杉本 慶子奥島 葉子梅田 正明
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p. 0565

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抄録
細胞周期の過程で、遺伝情報が正確に2つの娘細胞に分配されるためにはDNA損傷による変異が細胞分裂前に修復されることが必要だが、植物のDNA損傷に対する応答機構は未解明の部分が多い。我々は、シロイヌナズナでDNA二本鎖切断によってB2型サイクリン依存性キナーゼ(CDKB2)が分解されG2期からM期への移行が阻害されると同時に、DNAを複製するS期のみが繰り返されDNAが倍加し続けるエンドサイクルに移行することを明らかにしてきた。
CDKB2 の第一エキソンには75アミノ酸がコードされており、その中の46~59番目のアミノ酸配列がタンパク質分解の指標となるPEST配列と考えられている。今回CDKB2 の第一エキソンの一部を欠損あるいはアミノ酸置換を導入したレポーターラインを作製した。その結果46~75番目のアミノ酸を欠損させるとゼオシン処理時のタンパク質分解が抑制されたが、PEST配列にアミノ酸置換を導入したものではタンパク質分解が正常に起こることが確認された。よって、CDKB2のタンパク質分解はPEST配列ではなく、60~75番目のアミノ酸に依存していることが明らかになった。
またDNAの倍数性レベルに異常を示す変異体を用いてDNA損傷感受性試験を行った。それらの結果からDNAの倍数性とDNA損傷に対する耐性の関連性を明らかにし、エンドサイクルへ移行する生理的意義を考察したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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