日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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マイクロアレイによるイネphytochrome分子種の役割分担の解析
*清田 誠一郎謝 先芝高野 誠
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p. 0650

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抄録
Phytochrome(PHY)は、イネの唯一の赤/遠赤色光受容体である。イネには、PHYA、B、Cの3種類が存在する。イネPHYの欠損突然変異体間の比較から、形態形成、開花などにおいて、PHY分子種間の役割の違いが示唆されている。特定のPHYによって制御されている遺伝子を特定することを目的にマイクロアレイ解析を行った。今回は、以前、報告したイネフィトクロム欠損突然変異体の暗所芽生えに赤/遠赤色光をパルス照射したマイクロアレイのデータのWAD法(Kadata, Nakai, Shimizu, 2008)による再解析を行った。結果は、おおまかには以前の解析での結果を確認するものだったが、WAD法によって、より特異性の高い選抜が行えた。赤色光、遠赤色光で発現変動する遺伝子は共通性が高かった。残念ながら、PHYA、PHYB特異的な遺伝子は特定できなかった。しかし、PHYAとPHYCの両方を欠損した突然変異体で、赤色光による発現変動が抑えられる一群の遺伝子を同定できた。RT-PCRによる解析で、これらの遺伝子には、光照射後、短時間で発現が一過的誘導(抑制)される遺伝子が多く含まれていた。また、これらの遺伝子は、赤色光を連続照射した際にも一過的発現をすることを確認した。選抜されてきた遺伝子群には、ジャスモン酸応答遺伝子を含むストレス耐性関連の遺伝子が多く含まれた。
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© 2010 日本植物生理学会
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