日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ穂関連突然変異体の同定と解析
*川勝(池田) 恭子佐藤 光井澤 毅前川 雅彦長戸 康郎
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p. 0800

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抄録
イネの花序は小穂を着生することから収量性に直接関わる器官である。しかしその形態制御因子の報告は少ない。我々のこれまでの解析からAPO1遺伝子の発現量に応じて一穂着生小穂数が変動することが明らかになっている。今回我々は、化学変異原処理イネから穂形態に異常を示す変異体を同定し機能解析を行った。得られたaberrant panicle organization 2 (apo2) 変異体は短穂で、apo1変異体と類似した特徴を示した。穂軸の先端には野生型に見られない頂端花が着生し、一穂小穂数は野生型の15%にまで減少した。幼穂の初期発生を観察したところ、幅の狭い穂軸分裂組織から野生型よりも少ない枝梗原基を分化していた。またapo2変異体は、葉間期の短縮、花器官アイデンティティーの異常など、多面的な表現型を示した。ポジショナルクローニングにより原因遺伝子を単離したところ、APO2遺伝子はシロイヌナズナLEAFYのイネオーソログRice FLORICAULA (RFL)であった。空間的発現解析およびAPO1遺伝子との相互作用について解析した結果、両遺伝子は同一の経路で花序分裂組織のアイデンティティー転換を制御していることが示唆された。またシロイヌナズナLEAFYは花への転換を促進する因子であるが、イネのAPO2は抑制因子であることが本研究により明らかとなった。
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© 2010 日本植物生理学会
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