抄録
ストリゴラクトン(SL)は、AM菌および根寄生雑草の宿主認識シグナルとしての機能を持つ植物の二次代謝産物であり、さらに最近、植物の分枝を制御する新しい植物ホルモンであることが明らかとなった。しかし、SLの生合成経路については不明な点が多い。そこで、陸上植物の中で進化的にもっとも基部で分岐したコケ植物が生産するSLの探索を試みた。本研究ではヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)の野生株(WT)とカロテノイド酸化開裂酵素CCD8欠損変異体Ppccd8のクロロネマと茎葉体に含まれるSLを分析した。
その結果、ヒメツリガネゴケのWTおよびPpccd8のクロロネマからは、ほぼ同じ量の7-oxoorobanchyl acetate, 7α-hydroxyorobanchyl acetate およびorobanchyl acetateが検出された。茎葉体のSLは、WTではクロロネマと変わらなかったが、Ppccd8では明確な違いが認められたため、現在詳細に検討中である。