日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ核小体のヌクレオリンL1はリボソーム形成を通して低温での生育に必要である
小島 久恵*鵜飼 聖子虫鹿 純子Saez-Vasquez JulioEcheverria Manuel鈴木 孝征中村 研三
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p. 0913

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抄録
動物や酵母の核小体ヌクレオリンはpre-rRNAの転写、プロセシングと修飾、リボソームタンパク質の核への輸送やアセンブリーなど、リボソーム形成の様々なステップに関わる。シロイヌナズナは若い組織で発現するAtNuc-L1と、通常は花芽でのみ弱く発現するAtNuc-L2の2つのヌクレオリン遺伝子を持ち、糖に応答するAtNuc-L1の発現は細胞増殖と強くリンクしてその破壊株(atnuc1-1)は生育遅延や様々な形態異常を示す。一方、AtNuc-L2破壊株は異常を示さないが、atnuc1-1ではAtNuc-L2が発現しており、両遺伝子の二重破壊は胚性致死となる。植物体を22℃から15℃に移すと、1日以内にAtNuc-L1のmRNAが誘導され、3日目からはタンパク質レベルが増加した。atnuc1-1の生育は15℃ではほぼ停止した。atnuc1-1RPS5Aプロモーターに繋いだAtNuc-L1 cDNAを導入すると、AtNuc-L1 mRNAが野生型株の20~70%に回復し、種々の形態異常と共に15℃での生育も不完全ながら回復した。組織新鮮重当たりの25Sと18S rRNA量もatnuc1-1では顕著に低下し、RPS5Ap::AtNuc-L1導入によって不完全ながら回復した。以上のことから、AtNuc-L1はリボソーム形成を通して低温下での生育に必要であると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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