日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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低分子GTPase OsRac1による植物免疫における活性酸素生成の制御
*島本 功Wong Hann Ling河野 洋治石川 洋輔小田 隆清水 敏之川崎 努
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p. S0020

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抄録
植物において活性酸素は、発生分化や免疫機構において重要な働きをしている。植物における活性酸素生成の制御については古くから研究が行われているが、最近になり、その制御に関して新しい知見が得られてきている。我々は、植物免疫における活性酸素生成の制御に注目して研究を行ってきた。植物がさまざまな病原体に感染すると、急速に強い活性酸素生成が誘導される。これは細胞膜上にあるNADPH oxidaseの活性化によって引き起こされる。植物のNADPH oxidaseは動物のNOXとは異なり、細胞質にあるN末に二つのEFハンドを持つ。最近我々は、ヒトの低分子GTPase Racと相同性を持つイネの低分子GTPase OsRac1がNADPH oxidaseの細胞質側に存在するN末と結合することを見つけている。さらにOsRac1とNADPH oxidase両方に結合し、活性酸素生成を制御するRACK1を同定している。つまり、OsRac1-NADPH oxidase-RACK1の3者からなる複合体が活性酸素生成に重要な働きを持つことが示唆されている。我々はバイオイメージングなどの手法を用いたOsRac1による活性酸素生成の制御についての新しい知見を紹介したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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