日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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タバコBY-2細胞における新規トランスポーターNtT408の機能解析
*南 翔太士反 伸和森田 匡彦澤田 啓介伊藤 慎悟Alain GoossensDirk Inzé守安 正恭森山 芳則矢崎 一史
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p. 0246

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抄録

植物の二次代謝産物であるアルカロイドは医薬品の原料として用いられる。タバコのニコチンアルカロイドは根で合成され、茎を経由し葉の液胞に蓄積することが知られている。しかし、その輸送機構はほとんど明らかとなっていない。近年、ニコチン生合成遺伝子と同様に発現誘導される遺伝子群の網羅的解析が報告された1)。演者らは、同定された4種のトランスポーター(Nt-JAT1, C215, T449, T408)の研究を行っている。本研究では、タバコ新規トランスポーターNt-T408の全長の単離及び機能解析を行った。
Nt-T408は、植物で機能未知なNCS1 (nucleobase cation symporter-1)ファミリーに属していた。本遺伝子はジャスモン酸処理によって、ニコチン生合成部位である根において発現が誘導されることが判明し、またNt-T408はプラスチドに局在していることが明らかになった。以上の結果より、Nt-T408はプラスチドに局在し何らかの基質を輸送すること、ニコチン生産時には、その輸送がニコチン生産に重要な役割を果たしていることが示唆された。現在、T408の基質の同定を目的として、T408過剰発現、発現抑制BY-2細胞を作出し、ニコチンなど細胞内代謝産物の変化を解析中である。
1) Goossens A et al. (2003) PNAS 100: 8595-8600.

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© 2011 日本植物生理学会
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