日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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制限温度下で帯化根を形成するシロイヌナズナ温度感受性変異体rrd1rrd2rid4の解析
大塚 蔵嵩*杉山 宗隆
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p. 0343

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抄録
rrd1rrd2rid4は、不定根形成を指標に単離したシロイヌナズナ温度感受性変異体の一グループで、基本的な細胞増殖に関わる現象全般に不完全な温度感受性を示す点と、制限温度下で帯化した側根を形成する点に特徴がある。責任遺伝子については、RRD1がポリA特異的リボヌクレアーゼ様タンパク質、RID4がペンタトリコペプチドリピート(PPR)タンパク質をコードすることが明らかになっている。
RRD1の分子機能として、mRNA分解の起点となる、ポリAの分解に関与することが推定される。この考えが正しければ、制限温度に曝されたrrd1変異体では標的mRNAが分解されずに、その量が増加するはずである。そこで今回、マイクロアレイ解析により、制限温度下で側根形成を誘導したときのmRNAの変動をrrd1と野生型とで比較してみた。その結果、rrd1変異体では、ミトコンドリア呼吸鎖関連遺伝子群のmRNA蓄積が著しく増大していることがわかった。
一方で変異体同士を掛け合わせる交配実験から、どの組み合わせの二重変異体でも合成胚致死となるなど、3つの遺伝子に密接な遺伝学的相互作用があることを示唆する結果が得られている。これより、RRD1がRRD2やRID4と協力して特定のmRNAの分解にはたらき、この分解制御が発生の進行に深く関わっているという可能性が考えられる。
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© 2011 日本植物生理学会
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