抄録
世界中から集められたシロイヌナズナ・アクセッション(野生型純系統)には、ゲノムDNA配列において一塩基多型や塩基欠損などの遺伝的バリエーションが存在する。これらの遺伝的変化は種子休眠性や開花時期など様々な表現型の違いに関係している。本研究では、シロイヌナズナ・アクセッションにおける種子休眠性とホルモン内生量のバリエーションに注目しており、これまでに168アクセッションについて、酸性ホルモン類の一斉分析をおこなった。その結果、それぞれのホルモンにはかなりの程度のバリエーションが存在した。例えば、アブシジン酸内生量には47.0~506.3 ng/g生重量の間で違いが存在した。一方、各ホルモン内生量と種子休眠性の程度に明確な相関性は無かった。次に本研究では、このようなナチュラルバリエーションの遺伝的要因を研究するため、アブシジン酸過剰蓄積と超休眠性を同時に示すアクセッションによるQTL解析をおこなった。MQM(Multiple-QTL Mapping)モデルによる計算の結果、各ホルモン内生量と種子休眠性に関して、それぞれのQTLを検出した。今回はこれらの解析結果を発表する。