抄録
レタス芽生えでは液体培地のpHを6から4に低下させると根毛形成が誘導される。将来根毛を形成する細胞では、細胞長軸に垂直な表層微小管(CMT)配向が根毛原基形成に先立ちランダムになる必要があり、これはエチレンとオーキシンにより誘導される。近年、アブシジン酸も根毛形成を誘導することが明らかになったので、本研究ではアブシジン酸がCMTランダム化に与える影響と、CMTランダム化時のアブシジン酸とエチレン・オーキシンの相互作用について調べた。
アブシジン酸をpH 6の培地に添加してレタス芽生えを培養したところ、CMTはランダム化し、根毛形成が誘導されるようになった。しかし、pH 6の培地にアブシジン酸と同時にエチレン阻害剤やオーキシン阻害剤を添加すると、CMTのランダム化は起こらず、根毛も形成されなかった。逆に、アブシジン酸合成阻害剤のアバミンをpH 4の培地に添加すると、CMTのランダム化も根毛形成も阻害されるようになった。これらの結果から、根毛形成に必要なCMT配向のランダム化にはアブシジン酸は必要であるが、単独では十分な効果を持たず、エチレン・オーキシンと協調してCMTのランダム化に関与していることが示唆された。これらのホルモン間の関係をより明確にするために、現在、pH 4の培地にアバミンと同時にエチレンもしくはオーキシンを添加した場合のCMTを観察中であるので、併せて報告する。