日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネにおけるマグネシウム輸送体MRS2オーソログの遺伝子発現解析
*斉藤 貴之岩田 直子大前 芳美小林 奈通子田野井 慶太朗中西 友子
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p. 0912

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抄録
これまで、主要作物であるイネ(日本晴)を用い、Mgの吸収・移行動態の解析結果を報告した。その結果、植物体内の随所で能動的なMg輸送が行われていることが示され、多数の輸送タンパク質が関与する輸送機構の存在が示唆された。そして、ゲノムデータベースよりシロイヌナズナのMg輸送体AtMRS2のオーソログを検索し、得られた9遺伝子(以下、OsMRS2)を対象として発現解析を行ったので報告する。
幼植物期、分げつ期、花成期の各生育ステージにおいてOsMRS2ファミリーの発現組織を半定量的PCRにより調べた結果、植物体全体で発現していることが確認された。また、幼植物期において地上部、地下部のmRNA蓄積量を定量した結果、地下部よりも地上部での発現量が多い傾向が確認された。さらに、Mg欠乏処理を施したイネについて、根および各葉の葉身、葉鞘部を分け、OsMRS2の発現量の変化を8日目まで調べた。その結果、地上部、地下部ともMg欠乏による誘導性は確認されなかった。その一方、この期間に展開葉の葉鞘部における発現量は最大30倍程度まで変化し、生育に伴う増減が確認された。
GUSレポーター遺伝子のコンストラクトに、酵母において機能相補性を示したOsMRS2の上流配列を挿入し、形質転換体を作出することによって発現組織の解析を試みた。その結果、葉鞘部分などで染色が確認され、引き続き解析を行っている。
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© 2011 日本植物生理学会
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