日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ソルガム(Sorghum bicolor)のケイ酸によって誘起される塩耐性におけるポリアミンの働き
*殷 俐娜王 仕穏高谷 美和名嶋 凛太郎辻 渉板井 章浩藤原 伸介田中 浄
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p. 0958

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抄録
塩障害は世界の穀物生産を制限する主要要因であり、植物の塩耐性を改善することは重要かつ緊急を要する。ケイ素は地球の表面において2番目に多い元素であり、ストレス耐性の他に、植物の成長と発達にとっても有益な効果があるという多くの研究がなされてきた。塩ストレスにおけるケイ素の機能を調べるために、水耕条件下でケイ素をソルガムに施与した。ケイ素は塩ストレス下で、有意に、茎と根の成長を維持することが見出された。ケイ素により誘起される塩耐性機構をさらに明らかにするためにケイ酸のポリアミンとACC(1-aminocyclopropane-1-carboxylate)集積への影響、SbSAMDC (S-adenosylmethionine decarboxylase)遺伝子の発現について調べた。塩処理下時のケイ素施与により、ポリアミンレベル、特にプトレシンとスペルミンが2-4倍増加した。一方、ACC含量が減少した。さらにSbSAMDCの発現はケイ素により上方調節された。ケイ素によって誘起される塩ストレス耐性の改善はポリアミンとエチレン合成の制御と関連し、植物の成長と生存に必須なポリアミンはケイ酸誘起の塩耐性に重要な役割を果たしている。
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© 2011 日本植物生理学会
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