2024 年 63 巻 3 号 p. 69-79
半乾燥地域では,井戸を掘ることで飲料水へのアクセスが向上する。潜在地下水がリモート・センシングと地理情報システム(GIS)に基づく方法で検出できれば,井戸は効率よく掘ることができる。そこで,民俗学的知見を光学センサ・データと地理情報に適用することにより,半乾燥地域の潜在地下水分級図を作成した。対象地域は,パキスタン国シンド州ウマルコート地区の一部である。地形,地表面乾湿,植生の有無,地質を数量化して重み付け加算して得た半乾燥地域の潜在地下水評価値PGWSAZを5段階に区分した。対象地域西部の氾濫原の地下水存在可能性は,東部の沙漠のそれよりも高かった。精査地域の8村には67の井戸があった。それらの井戸で地下水存在可能性(PGWSAZの値)を調べた。67井戸のうち,87%はModerateとGoodクラスにあり,地下水存在可能性が高い場所にあった。したがって,作成した潜在地下水分級図は井戸掘削候補地を検出するのに有効であるといえる。