写真測量とリモートセンシング
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MSS熱赤外画像データによる東京周辺の地表面温度日変化
宇都宮 陽二朗
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1980 年 19 巻 1 号 p. 20-30

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抄録

1975年1月3日において5: 52~6: 01と11: 28~11: 46の2回にわたり東京都武蔵野-葛飾間のほぼ東西の飛行コースで撮影されたMSS熱赤外画像を解析した結果, 以下のことが明らかとなった。
1) 裸地, 道路, 駐車場, 常緑樹および野菜畑などの土地利用における表面温度は早朝では郊外より都心部が高く, 日中では逆に郊外の方が高温を示す。しかし, 芝生では早期, 日中のいずれの表面温度も都心で高温を示している。地表面温度の日中と早期の温度差は都心より郊外に大である。
2) 2時期の表面温度データの判別分析によると, 7群の土地利用は水面, 常緑樹および土地利用改変の激しい土地利用群 (裸地, 道路, 駐車場, 野菜畑, 芝生など) の3グループにまとめられるが, その中で, 人為による土地改変の激しい土地利用群をとり, 都心と郊外を比較すると, すでに述べた個々の土地利用と同様に都心より郊外に表面温度の日変化が大であることが知られる。
3) 新年の休暇中であり, 通常の工場の操業がなかったことも11: 30の表面温度が高温を示さない原因の一つと考えられるが, 上記の表面温度の現象は都市気候として知られているHeat Island又は, Cool Islandに類似している。
4) 裸地の表面温度の日変化は地下水位の深浅または, 土壌水分量を反映していると思われる。
5) 水域の表面温度変化は河川, プール, 池沼, 下水処理場などの水利用の違いにより, 各水域間に差異が認められ, 河川における水面温度の日変化は下流部に小さく, 上流部に大きいという傾向を示す。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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