写真測量とリモートセンシング
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ランドサットデータによる流域管理のための崩壤地識別の評価
Masamu AniyaMasahiro EtayaHaruhisa Shimoda
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1985 年 24 巻 4 号 p. 17-21

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抄録

流域管理は崩壊の把握と密接に結びついているので, 山梨県の雨畑川流域, 静岡県の東河内流域とその周辺を対象地域として, ランドサットMSSディジタルデータによる崩壊地識別を行った。この地域は, 脆い地質, 急峻な地形, 台風による豪雨などの要因が重なり, 現在約1700ケ所の崩壊が認められる。空中写真と現地調査から作った崩壊分布図をグランド・トルースとして, 最尤法による分類結果を評価したところ, 約10%の崩壊が識別されたことが判った。これらは面積的には全崩壊地の約50%を占める。この過程で大きな問題となったのは河原との誤分類である。
崩壊の大きさと識別精度の関係を検討した結果, ピクセルの大きさ (約6400m2) の約1/3, 2000m2ぐらいが識別される最少限であることが判明した。
また大きな崩壊地識別精度が上り, しかも流域管理に大きな影響を与えるので, ある流域内での全崩壊面積, 土量や崩壊からの土砂流出量の推定などには使える可能性があることが判った。しかしこのためには, 他の地理情報データを使って, 崩壊地と河原を分離することが前提となる。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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