1994 年 33 巻 4 号 p. 6-14
近年, 千葉県印旛沼において水性植物のヒシの繁殖が顕著である。このヒシの被覆面積の季節変動を調査するために, ヒシの群落に設けた10ケ所のコドラートを2週間毎にボートから写真に記録し, 群落の変化を観測した。試料のサンプリングを行い, 実験室において葉面積指数 (LAI) を計測すると共に, 採集した試料をオーブンで乾燥し, 葉身, 葉柄, 茎等の構成部分の乾燥重量を測定した。
データを解析した結果, ヒシの葉の密度と葉面積は6月の末と9月の末に2つのピークがあることがわかった。また全乾燥重量を評価した結果, 9月の末が年間の最大値で320g/m2を示した。これらの現地観測の結果と合わせてランドサットTMデータによって湖全体のヒシの被覆面積とバイオマスを見積った。その結果, 1984から1987年にかけてその増加は著しいことがわかった。