写真測量とリモートセンシング
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モンスーンアジアにおける人為的土地被覆変化による蒸発散量変化の推定
近藤 昭彦
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1995 年 34 巻 4 号 p. 13-21

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抄録

NOAA/EPAが作成したGlobal Ecosystem Database version 1.0 CD-ROM (GEDB) に含まれるグローバルデータセットを使用して, モンスーンアジアにおける土地被覆の変化に伴う広域可能蒸発量の変化を推定した。
モンスーンアジアの現植生図を作成するために, NOAA/AVHRRによる1990年の月NDVI (Normalized Difference Vegetation Index) の季節変化に基づき, クラスター分析を行った。48クラスに分類された各クラスごとに気温データから求めることのできる温量指数降水量の特性を求め, 地理的位置を考慮しながら各クラスの植生・土地被覆タイプを決定した。
蒸発量の計算にはPriestley & Taylor法に基づいたAhn and Tateishi (1994) の方法を用いた。計算に必要なパラメーターはGEDBに含まれる気温・日照率・アルベドデータセットを現植生図を重ね合わせ, 各クラスの特長値を求めることによって得た。これらのパラメーターを用いて現植生図に対応した広域可能蒸発量を計算した。
自然植生図の復元のために, Holdridge Life Zoneデータセットを参照し, 現在草地あるいは農地となっている場所で, 気候的には森林が成立可能な地域を抽出した。その結果, 計算対象範囲の陸域の約24%の土地被覆が変化していることが推定された。土地被覆の変化面積が大きい地域は中国東部~南部とインドで, タイおよびミャンマーの中央平原がこれに次ぐ。復元された自然植生図に対して現植生図と同じ方法で, 可能蒸発量を計算した。

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