写真測量とリモートセンシング
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人工衛星センサーにおけるポインティングの変動に伴う変化抽出誤差の低減法
鄭 鍾赫高木 方隆
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2006 年 45 巻 2 号 p. 16-23

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抄録

時系列リモートセンシングデータは, 土地被覆変化抽出のためによく使われている。この土地被覆変化抽出は, リモートセンシングデータのピクセルが同じ場所をポインティングしているという前提で行われている。しかし実際には, 時系列データのポインティング位置がずれている。現在, 幾何補正の誤差による土地被覆変化抽出への影響は研究されているが, ポインティングのずれによる土地被覆変化抽出への影響は, あまり研究されてない。そこで, 本研究は, ポインティングのずれによる影響を少なくする手法を提案する。そのとき, まずリモートセンシングデータは, サブピクセルの精度での幾何変換式を導く必要がある。そして, ある空間に固定されたグリッドを用意し, その各グリッドに分類結果を再配列させる。再配列は, 空間に固定されたグリッドとリモートセンシングデータのピクセル境界とをオーバーレイさせ, 面積の比例配分にしたがって行う。この再配列においては, ピクセル単位でカテゴライズされた分類結果であっても, 結果的にミクセルとして表現されるため, 始めからミクセル分解された分類手法を用いることが望ましい。したがって空間に固定されたグリッドへの再配列によって, ポインティング位置のずれの影響を少なくすることができる。シミュレーションによる評価を行ったところ, ピクセル同士を直接比較する変化抽出法よりも最大で50%の精度向上が期待できた。
今回, 2シーンのASTER画像を用いて提案する手法によって土地被覆変化抽出を試みた。幾何変換式は, IKONOS画像を用いてイメージマッチングにより平均二乗誤差0.25ピクセルの精度で導くことができた。ミクセル解析により分類を行い, 固定されたグリッドに再配列し, 変化抽出を実施した。その結果を画像化したところ, ピクセル同士を直接比較する変化抽出に比べて, ノイズの少ないシャープな結果を得ることができた。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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