2007 年 46 巻 5 号 p. 56-67
リモートセンシングと生態学, 気象モデルをリンクさせ, 流域生態系の機能を解明する目的を持つ21世紀COEプログラム「衛星生態学」において, 試験サイトである高山市を流れる大八賀川流域の正確な土地利用・土地被覆を提示することは重要な意味をもつ。この流域は起伏に富み, 森林から農地, 市街地と異質の生態系が入り組んで存在している。ここでALOS AVNIR-2の有効性を評価するため, 中分解能衛星Landsat ETM+とTerra ASTERデータを複合した画像と, ALOS AVNIR-2画像単独による土地利用・土地被覆分類を行ない, 分類精度を比較した。その結果, ALOS AVNIR-2にはキャリブレーション上の問題はあるが, とくに植生タイプに関して高い分類精度が得られた。ALOS AVNIR-2の10mの空間分解能と観測波長帯は, 様々な環境観測に有効に使える可能性が示唆された。