抄録
水性グラビアインキにおけるスチレン·アクリル樹脂とポリカルボジイミドの反応挙動をFTIR及びESCAを用いて解析した。混合樹脂を加熱乾燥することによって, 架橋が促進されることが分かった。また, FTIRにおける架橋反応性と印刷物の耐アルカリ性が必ずしも一致しないことが分かった。樹脂皮膜表面は, 乾燥温度が低いほどポリカルボジイミドが少なく, 未反応のカルボキシル基が多かった。耐アルカリ性試験結果及び反応挙動の解析結果から, 乾燥温度か低い場合に耐アルカリ性が劣るのは, 架橋量の違いだけでなく, 表面のスチレン·アクリル樹脂の偏析による未架橋のカルボキシル基の影響も考えられた。