埼玉理学療法
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研究と報告
端坐位不能な両側片麻痺患者に対するアプローチ
田尻 和行
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1994 年 2 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
発症から8年を経過した両側片麻痺患者に端坐位獲得のための訓練を施行した。紀伊の「脳性麻痺児の歩行訓練」(理学療法 1984)に示された立位・歩行に必要な5つの要素の中で,坐位保持に必要な機能は,(1) 頭のコントロール,(2) 抗重力肢位を維持するのに必要なだけの伸筋トーンの漸増,(3) 坐位・立位・歩行におけるバランス保持を作り出すための頭部-体幹-下肢の平衡反応の出現と成熟,(4) 体軸内回旋の4つであると考えた。上記のことをある患者に応用して治療を展開した。その結果,両手を側方に支持した坐位保持が可能となり,体幹の伸展活動は不十分なものの左上肢の挙上が可能となった。本ケースの治療経験により,端坐位保持には(1) (2) が主に必要であること,経過が長く,その間寝たきりであった患者でもこのような治療方法により改善可能であることが分かった。
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© 1994 社団法人 埼玉県理学療法士会
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