医療の質・安全学会誌
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特集 東日本大震災における被災者支援の現状と教訓─現場からの報告と提言─
医療救護活動や避難所診療における専門外診療の留意事項
保田 知生
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2011 年 6 巻 2 号 p. 252-254

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抄録

 震災などの大規模災害の時に,被災地周辺に勤務していた医師は,災害の発生直後から多数の外傷患者を抱え,身動きが取れなくなる.災害規模が大きくなると医療は充足することなく,内科系,外科系,小児疾患や妊娠者,精神疾患など多くの領域の知識を求められるが,現在の細分化した専門領域別の医療体制では急に学ぶことができない内容である.専門外の知識を身につけるための努力は災害が起こる前から備えるべきであるが,防災マニュアルはあっても,さまざまな災害に対応する防災医療マニュアルは十分とはいえない状況にある.このような中で,専門分化した医学教育に慣れ親しんだ医療従事者は予想できない疾患に直面することになる.一度に複数の治療をすすめなければならない患者も想定できる.また,このような災害による外傷でなければめったに発生しない疾患に対する知識も必要となる.この企画では,これらの全ての治療法を述べることはできないが,自身の専門とは違う診療を求められたときに役立つ知識を集積したいと考える.「医療安全全国共同行動」ではホームページに震災時に役立つプライマリ・ケアの基礎知識と題して質問形式で知識の集積を行っているので協力をお願いしたい.

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