人工呼吸
Online ISSN : 2436-3103
Print ISSN : 0910-9927
総説
呼吸筋萎縮・機能障害の評価と予防
中西 信人
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2023 年 40 巻 2 号 p. 143-149

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抄録

 人工呼吸管理を要する重症患者では、横隔膜、肋間筋、腹斜筋、腹横筋、腹直筋の萎縮を認める。これらの呼吸筋の萎縮は人工呼吸管理、自発呼吸の消失、炎症、不動化、栄養不良、薬剤、虚血などが原因で生じる。呼吸筋の萎縮や機能障害は超音波を用いて評価可能であるものの、超音波検査は術者の技量に影響されるため適切な訓練が必要である。呼吸筋萎縮・機能障害の予防には、人工呼吸管理における自発呼吸の温存、適切な呼吸補助、過度の呼気終末陽圧(PEEP)の回避、リハビリテーション、神経筋電気刺激療法、蛋白質投与などが有効である。しかし、重症患者における呼吸筋萎縮・機能障害は依然として明らかでないことも多く、今後の研究が必要である。

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© 2023 一般社団法人 日本呼吸療法医学会
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