鋼構造論文集
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高層建築における柱― 梁溶接仕口の脆性破壊
桑村 仁伊山 潤横山 幸夫
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1997 年 4 巻 16 号 p. 1-16

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抄録

 日本の高層建築に用いられている柱―梁溶接仕口の破壊性能を実大実験で調査した。柱は溶接組立箱形断面,梁は溶接組立H形断面である.梁端フランジの溶接は炭酸ガス半自動アーク溶接とエレクトロガスアーク溶接の2種類を採用した.柱には切欠き靭性の異なる2種類の建築構造用圧延鋼材SN鋼を使用した.4体の実験により,柱フランジの球根状剥離破壊・スカラップ底からの梁フランジ破壊・ウェブフィレットすみ肉溶接ルートからの梁フランジ破壊の3種類の破壊モードが再現された.破壊までの塑性変形能力は,いずれの場合も全塑性変形の20倍を超えており,耐震設計上の問題が提起されるには至らなかった.破壊までに十分な塑性変形能力が得られた要因は,鋼材の低降伏比および豊富な延性と切欠き靭性,溶接の適切な施工によるものである.

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© 社団法人日本鋼構造協会
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