抄録
【背景と目的】中途視覚障害者は、心理面、生活面で大きなダメージを受け、生きる気力を失うこともある。一方で、盲導犬ユーザーには、主体性をもち日常を楽しむ姿がしばしば見られる。本研究では、中途視覚障害者が盲導犬ととともに、意欲的な生活をどのように立て直していくのか、その変容プロセスを検討することを目的とした。
【対象と方法】中途受障の盲導犬ユーザー9名を対象に半構造化面接を実施し、Modified Grounded Theory Approach(修正版M-GTA)を用いて分析を行った。
【結果と考察】盲導犬使用により単独歩行の自由と楽しさを獲得していた。また、盲導犬が社会との懸け橋となり、他者と関わる喜びを体験していた。さらに、コンパニオンアニマルとしての盲導犬は、ユーザーにポジティブな心理的効果を与えていた。
【結論】中途受障のユーザーは、盲導犬と暮らすことによる生活の変化と心理的な変化を体験することにより、生活の質を改善することが可能になったと考えられた。