2020 年 14 巻 1 号 p. 52-58
【背景と目的】視覚障害者が有する生活上の問題のひとつに移動の困難がある。白杖歩行と盲導犬歩行は、道路交通法に定められた視覚障害者の単独歩行の手段である。本研究では、盲導犬使用者と盲導犬を使用したことがない白杖使用者に生活の質(quality of life: QOL)に関する調査を実施し、歩行手段の違いが対象者のQOLに関連するのかを検討することとした。 【方法】対象者は、盲導犬使用者36名と白杖使用者28名であった。調査内容はQOL に関する31項目と属性とし、調査方法は電話によるヒアリング、電子メール、郵送より各対象者が選択した。 【結果】統計分析の結果、31項目中危険率5%で4項目に、10%ではさらに1項目に有意差が認められ、5項目全てにおいて盲導犬使用者の得点が高かった。 【考察】本研究の結果より盲導犬使用者のQOLの高さが一部示唆されたことは、視覚障害者のQOL向上に盲導犬が寄与すると考えられる。