日本補助犬科学研究
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原著論文
医療機関における補助犬受け入れ状況:12年間での変化
三浦 靖史 田内 璃子森戸 茉莉菜西尾 尚也嶋田 良介倉澤 悠維
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2022 年 16 巻 1 号 p. 74-81

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抄録

【背景】我々は、医療機関における補助犬の受け入れ状況を、2008年から3年毎に調査している。2020年に5回目の調査を実施して、補助犬の受け入れ状況の12年間での変化について検討した。 【方法】2020年10-11月に、兵庫県の212病院と福岡県の205病院の看護部長を対象に、過去4回と同様の補助犬に関するアンケート調査を実施した。依頼は郵送で行ったが、新型コロナウイルス感染症対策として、ウェブで回答を得た。 【結果】回答率は16.1%で、2017年の44.7%より大きく低下していた。補助犬の来院経験がある施設は、兵庫県では2008年の18.5%、2011年の31.9%、2014年の34.4%、2017年の19.3%と比較して、2020年では34.0%であり、 2014年と同程度であった。福岡県においても、2011年の17.9%、2014年の19.2%、2017年の9.7%と比較して、2020年では15.0%であり、2014年と同程度であった。また、兵庫県での補助犬同伴可標識の掲示率は、2008年の8.3%、2011年の12.4%、2014年の18.3%、2017年の22.9%と比較して、2020年では14.9%と過去2回の調査時より減少していたが、啓発ポスターの掲示率は、2011年の8.0%、2014年の10.8%、2017年の12.8%と比較して、2020年では23.4%で、漸増していた。 【考察】新型コロナウイルス感染症の流行と、医療機関の多忙な状況から回答率が低かったことが影響した可能性があるが、 医療機関における補助犬の受け入れや啓発の状況は、2014年以降、大きな変化はなかったと考えられた。 【結論】新型コロナウイルス感染症の流行下であっても医療機関での補助犬の受け入れが進むように、医療機関の内外での継続的な啓発活動が必要である。

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