抄録
現用盲導犬ハーネスの問題点を把握するため、訓練場面の観察、訓練士にヒヤリングとアンケート調査を実施した結果、上肢の違和感、改善の必要性があるなど、課題整理ができた。改善策として、実験用ハーネスの設計・試作を行い、実験用ハーネスで訓練士2名による基本的な訓練動作(直線歩行・角歩行・障害物歩行・段差歩行)の試用評価を実施した。結果、今回試作した実験用ハーネスのハンドルの長さ・角度調節機構は好評であり、人工皮革製の胴輪は好印象であった。一方、ハンドルと胴輪のジョイント部の軸構造は、動きがシャープに伝達する面と遊びがないと不自然であるという相反する要素となり、大きな課題となった。今後、良好な結果が得られたハンドル構造と胴輪を活かし、ハンドルと胴輪のジョイント部の構造についてさらに検討を重ね、利用者の検証も含め引き続き利用しやすい盲導犬ハーネスの開発を進めたい。