2017 年 25 巻 1 号 p. 12-26
本研究では、「デザイン思考」と日本型イノベーションについて野中らが提唱する知識創造論の親和性に着目し、新たな価値を事業として構想・創造する人材(フロンティア人材)を育成する教育カリキュラムを開発・実施・評価した。具体的には、知識共創に適したマネジメントにより、1)イノベーション創出の軸となる受講生自らのアントレプレナーシップの形成、2)国内外の多様な人との協働を通じたイノベーション共創の方法論の習得、3)事業創出に密接に関わる知識および情報技術の習得、4)これらの学びを総動員したデザイン思考プロジェクトでの実践、を行った。教育効果について、事業創造人材診断指標(経済産業省)の推移により定量的に把握した。受講生は2年間のプログラムを通じて、事業創造人材診断指標の2フェーズ「発想を生み出す思考」「実行」いずれにおいても伸びが見られた。