日本雪工学会誌
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屋根用塗装鋼板における滑雪性能の評価および維持の手法
伊東 敏幸苫米地 司三橋 博三
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1997 年 13 巻 3 号 p. 244-252

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抄録
屋根上積雪の規則的な滑落処理を継続的に行う勾配屋根に用いる屋根用塗装鋼板の長期的な滑雪性能の評価および維持の手法について検討している。勾配屋根に用いる葺材は紫外線による化学的劣化と滑雪による機械的劣化が生じ,年数の経過に伴って材料表面の性状が変化する。実際に使用されていた屋根用の塗装鋼板における滑雪性能の経年劣化曲線には,初期劣化の後に18年経過頃まで滑雪性能が殆ど変化しない期間が長く存在する。なお,この滑雪性
能の経年変化は,屋根雪と屋根葺材との凍着強度および摩擦係数で評価した。このことから,長期的な滑雪性能を評価する場合は,滑雪性能の経年劣化曲線に基づいて行うことが有効と考える。さらに,その劣化曲線を考慮して,屋根の滑落機能の維持保全を計画する必要がある。従って,屋根葺材の滑雪性能の耐久寿命を推定するには,材料の劣化機構に対応する劣化外力の影響を考慮する必要があると言える。本研究により,勾配屋根に適用できる材料設計手法の基本概念が提示された。
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