堆積学研究
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論説
塊状重力流堆積物中の障害物洗掘痕
尾崎 かおり宮田 雄一郎
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2009 年 67 巻 2 号 p. 85-101

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抄録

大分県の更新統誓願寺軽石層の火砕流堆積物中の塊状部には,洗掘痕がみられる.深さは最大1.5mで,細粒な重鉱物が濃集したなめらかな壁面を伴うが,上流壁面が急傾斜で流れ方向に非対称縦断面をもつ.充填物は不淘汰で,インブリケーションには上流傾斜と下流傾斜の場合がある.房総半島の更新統梅ヶ瀬層の塊状タービダイト砂岩層にも共通した特徴をもつ洗掘痕がみられる.最大0.7mの深さで,流れ方向に対称断面をもち,充填物は高角度インブリケーションを示す.開水路実験では,このような洗掘痕が,移動性障害物の周りを洗掘して形成されたことが示された.タービダイトでは泥岩偽礫が,火砕流では土塊や倒木が障害物になりうる.深い洗掘痕や下流に第二の洗掘痕やバックセット埋積を伴う場合には,障害物の高さに匹敵するほど浅い流れが必要である.形状や充填組織から,重力流の厚さは,混濁流で0.7m, 火砕流は1.5mと見積もられた.

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© 2009 日本堆積学会
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