堆積学研究
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論説
河川堆積物にみられる高流砂階の堆積構造:鮮新-更新統古琵琶湖層群堅田層
増田 富士雄服部 昇石田 志朗
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2019 年 77 巻 2 号 p. 81-95

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抄録

鮮新-更新統古琵琶湖層群,堅田層の河川性堆積物からアンティデューンやサイクリックステップやシュートアンドプールなどの高流砂階で形成されたと考えられる堆積構造をみいだした.それらの堆積構造の特徴は,(1)上流への堆積を示すバックセット葉理とバックステッピング構造,(2) S字状葉理,波状葉理,HCSもどきの葉理,(3)侵食基底面をもつ下に凸の弓状の充填層と礫·砂·泥の分離,(4)等間隔で非対称の侵食基底面,(5)粒径の異なる部分の混在,などである.これらの堆積物は高流砂階の高いエネルギーのもと,内部で流況が激しく変動した結果つくられたものである.高流砂階の堆積構造を含む氾濫層は堆積速度が大きく,流れに多量の浮遊泥が含まれていたため,多様な堆積構造が記録されたと考えられる.また,高流砂階の堆積構造が多くみられる地層での古流向の解析には,その堆積構造の認定が重要となる.今後,いろいろな堆積環境からさまざまな高流砂階の堆積構造をみいだすことが,その多様性の解明と形成過程を考える上で重要になる.

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© 2019 日本堆積学会
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