2020 年 78 巻 2 号 p. 77-89
天草諸島では,以前より白亜系姫浦層群や古第三系白岳層で油徴·油臭があることが知られている.本研究では,油徴が確認された姫浦層群泥質岩の石油生成ポテンシャルの検討を目的として,姫戸町小島周辺に分布する泥質岩の有機地球化学的分析を実施した.その結果,油徴周辺の泥質岩の全有機物量(TOC)は0.65〜1.10wt.%,遊離炭化水素量(S1)は0.02〜0.13mgHC/gRock,熱分解炭化水素量(S2)は0.12〜0.36mgHC/gRock,熱分解二酸化炭素量(S3)は0.12〜0.63mgCO2/gRockであった.また熟成度を表すTmaxは460〜534℃であった.以上から,本地域の姫浦層群泥質岩は,既に過熟成に達しているものの,現在も相当量の有機物を含んでいることから,初生的には石油生成ポテンシャルは高く,生成された炭化水素は既に移動した可能性が示唆される.