堆積学研究
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研究報告
氾濫流路堆積物にみる同時異相:京都府城陽市,水主神社東遺跡
増田 富士雄
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2022 年 80 巻 1-2 号 p. 27-34

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抄録

京都府城陽市の水主神社東遺跡で氾濫流路の堆積物を調べた結果,厚さ数10 cm程度の流路堆積物の砂層とその周囲の氾濫原泥層とが同時異相のひとつのセットとして堆積し,複数のユニットが積み重なって谷状の流路堆積物の集合体になっていることがわかった.すなわちひとつの同時異相のユニットは,氾濫流の流速や流量などの違いに支配された流れの中での物質の濃集差を反映したもので,数時間から数日間の1回の洪水氾濫によって堆積したものであり,氾濫流路堆積物からなる谷状の地層は5〜6回の氾濫流がほぼ同じところを流れて形成されたものである.こうした堆積物では岩相境界の認定が難しいことがわかる.

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© 2022 日本堆積学会
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