1992 年 37 巻 37 号 p. 59-69
高分解能地層探査機による久慈川沖の陸棚上を調査した結果, 第三系を不整合に覆う2つの堆積ユニットが確認された. ユニット間を境する面は, 下位のユニットの内部構造を切っていることから浸食面と考えられ, 最終氷期後の海進に伴って形成されたラビーンメント面である.
これらのユニットは下位がユニットKa, 上位がユニットKbで, ユニットKaは海水準低下期から上昇期に堆積した河川から沿岸の堆積物, ユニットKbは海水準上昇期から高海水準安定期に堆積した陸棚堆積物と考えられる. ユニットKbの層厚分布は比高0-5m, 1-3km離れて, 等深線に対して北側に15-25°開いた方向をもつリッジとトラフの形状を示しており, 海進期に形成されたサンドリッジと結論付けられる.
調査地域にみられる海進期の堆積層は, 時間面と斜交するラビーンメント面を境に2つに分けられ, ラビーンメント面と海進面は明瞭に区別される.