堆積学研究会報
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韓国, 忠南炭田の東部に分布する南浦層群 (大同層群) の生層序と砂岩の鉱物組成
兪 剛民全 希永李 興坤
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1993 年 39 巻 39 号 p. 45-68

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抄録

忠南炭田の東部に分布する大同層群は, 下位から, 下鳥層, 峨嵋山層, 造渓里層, 白雲寺層, 聖住里層で構成される. 古生物学的研究は東アジアの中生代の Dictyophyllum-Clathropteris 植物区のうち, 南東亜区にあたる植物群構成を中心に行った. 峨嵋山層の地質時代は後期三畳紀であり, この時代は葉肢介類からも支持される. 上位の層は植物群からみて前期ジュラ紀までのびる.
堆積岩石学研究は砂岩の鉱物と重鉱物組成を中心に行った. トーマリンとガーネットは定量分析した. 下鳥層の礫は先カンブリア紀の変成岩から由来した岩片を55%含む. 砂岩の主要鉱物は石英で, 平均61.5%である. 長石は他の地域の大同層群より高い含有量で, 平均15%である. 下鳥層および峨嵋山層中部砂岩帯の一部の砂岩は石英アレナイトである. それ以外の層の砂岩は長石質アレナイト/ワッケからなる. 砂岩の重鉱物としてはジルコン, トーマリン, ルチル, モナズ石, 褐れん石, ガーネット, スフェーン, 角閃石類, 緑泥石, 黒雲母, 白雲母が有り, 非透明鉱物として赤鉄鉱, 磁鉄鉱, 黄銅鉱, チタン鉄鉱, クロム鉄鉱が含まれる. EPMAで定量分析したトーマリンはリチュームが少ない花崗岩類とアプライト, またはカルシウムが少ないメタペライトとメタザマイトに由来したものである. ガーネットは中間~高変成度のカルシウムが少ない変成岩に由来したものである. 礫岩と砂岩の鉱物と重鉱物組成の検討の結果, 大同層群の供給源は主として石英質岩石であって, それ以外に火成岩と変成岩が付加的である.

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© 日本堆積学会
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