1982 年 2 巻 p. 141-144
本症例では当初, 僧帽弁閉鎖不全症として外来で観察され, 15年後に左軸偏位とI度房室ブロック, その2年後に完全右脚ブロック, 完全房室ブロックが出現するのを追求しえ, ペースメーカー植え込みを行った。なおホルター心電図により心室性頻拍が発見され, また心筋生検でサルコイド肉芽腫や毛細管基底膜多層化病変を確認しえた。201Tl心筋スキャンにより左室前壁・中隔壁に欠損像を認め, サ症による広範な心筋病変の存在が疑われた。心室性不整脈に対するステロイド剤投与の効果判定にホルター心電図が有用であるが, ステロイドは不整脈治療に有効とは判定できなかった。これは投与量や期間の不足があったためかもしれない。しかしDHはある程度有効と判断された。以上, ホルター心電図や201Tl心筋シンチが心サ症の病態や治療効果を知る上で有用であった。